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この景色を作った時 タルガフローリオ

2009 09 10
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石造りの家をどうやって作るか。
大きく分けると二通りあります。

ひとつ目は実際に石を積み上げる。
程よい大きさのものがあれば、本物の石でもいいんですが、
石に見える他の物を探して1個ずつ積み上げる方法があります。
この方法のいいところはリアルな仕上がり。
ただし、鋼鉄の意志と、永遠の根気が必要でしょう。
ただ並べればいい、と言うものではなく、実物と同じような積み方をしないと、
ミニチュアとして見えてきません。

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二つ目の方法は、彫刻してしまう。
写真に写っている石積みの家は、彫刻して着色したものです。
1個ずつ貼り付ける手間もいらず、1個ごとの大きさも自由に決める事が出来ます。
作業自体の能率という点ではベストの方法といえますが、
元の素材は発泡ポリスチレンという板です。
最初はすべすべの平面ですから、彫刻しても平面のまま仕上がりますが、
本当に平面なので、石積みの壁にしては平らすぎてしまうという
不自然な仕上がりになりがちです。

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ゆがんだ平面、というか、
近くで見るとでこぼこしてるのに、離れて見ると平らに見えるような
素朴な感じを出すのに、どちらの方法を選ぶか。
作り手の選択の問題になっていくと思うんですが、
お勧めするとすれば彫刻する方を選びます。

特に、この作品は1/43スケールという小さなサイズなので
望む大きさの材料を探すのが困難だという理由もあります。
1/12スケール、所謂ドールハウスのサイズでも、
その数は相当のものになると思います。

石を積み上げる作業、その工程を楽しみたい!と言う方には
ぜひ彫刻などせずに、石積み職人になって楽しんでほしいと思います。


実は私も一度経験があります。
楽しかったですが、同じくらいつらかった。

今度石を積み上げる予定は・・・今のところありません。






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この記事を作った時 駒沢橋  追記

2009 09 04
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人工の構造物を模型にする時、どうしても正確な寸法がほしくなります。
元々、数字から生まれてきたものを模型にするのに一番楽な手段だからです。
確かに、正確に作る為正確な数字は必要ですが、
そこには意外な落とし穴があります。

人の目の錯覚。

現地を取材して受けた印象と、1/43スケールに縮小された模型の印象とは
同じになるとは限りません。
ジオラマやミニチュアが持つ宿命のようなものがあると思っています。
片側2車線の道路が40センチくらいの幅になってしまうんですから、
当然見る人の目線が全く違ってくるし、
計算通りに縮小してしまうと目の錯覚のおかげで不自然な形になる事があります。
「これ、なんか変だな」と思わせてしまう事になります。

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今回の作品は横幅が60センチ近くあるわりに歩道橋の面が20センチ以下という、
全体的に見ると”薄い”印象になっています。
インパクトがないんですね、平べったくて。

そこで目の錯覚を逆に利用して、何カ所かの寸法を意図的に変えてしまえと。
これを「デフォルメ」と言っていいのか分かりませんが、
変えてしまう事で違和感をなくす事がねらいです。

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全体のバランスに注意しながら、歩道橋の高さを上げてあります。
ですから、この場合の高さは実物とは違います。
でも見た目に違和感はない(はずですが)。

この景色を知っている人がこのジオラマを見た時、
違和感なく見てほしいし、
ここを知らない人が見ても、同様に見てほしい。

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嘘も方便 



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この景色を作った時  駒沢橋 3

2009 09 03
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最初に決めておかないといけないのが、橋桁の厚みと道路からの高さ。
歩道橋の両側には螺旋階段があって、一回り半で歩道橋の上に繋がっています。
階段の段数と一段当たりの高さ、扇形の寸法等々・・・

さらに橋桁までの高さを計算に入れると、程よくパニックになります。

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一番困った事は、そういう計算が終わらないと部品の切り出しが出来ず、
現物当たりのやっつけ仕事が出来なかった事です。

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もともと製作前に構想を決めて、イメージとして完成するまで
手を動かさない事にしているので、この作品が形を現し、色が決まって
作業として進んでいると実感するのに随分と間が開いてしまいました。

大きな作品の場合これは仕方のない事で、焦っても無駄だと分かっているんですが、
いつまでも形が変わらないと、何も仕事をしていないような気がして焦ってしまいます。

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そんなたくさんの思いがあったからこそ、
完成後の開放感もたっぷり味わう事が出来ました。

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この景色を作った時  駒沢橋 2

2009 09 02
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現地の様子です。
この時点で既に、寸法を測りきれないところがいっぱい。
歩測と目測、基準になるポイントを押さえて、あとは数多く撮影するだけです。

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ジオラマ上で横幅が57センチの歩道橋です。
中間に柱はなく、軽い素材を選んで作っても、
完成後時間が経って中央部分が沈まないようにしないといけません。
そのため、橋脚と橋桁の中に檜材を使って芯を入れてあります。

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この壁の中にも10㎜角の柱が3本入っていて、ベースの板に固定されています。

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この作品には複雑な地形の変化はありませんが、
実際にあるままの形を再現しようとすると、
強度と寸法が実物と一致しない事があります。
橋桁の厚みを増やせば強度は上がりますが、
出来上がりがぼってりした感じになって、見た目にも重くなります。

この景色を作る前に、いくつかの寸法を決めなければなりませんでした。
きちんと決めておかないと今回は完成しません。
最初にお話しした基準になるポイントに、実は問題が・・・


続きはまた明日お付き合い下さい。

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この景色を作った時  駒沢橋

2009 09 01
世田谷区に駒沢公園という大きな公園があって、
駒沢通りが南北に分けるようにその間を通っています。
その南北を繋ぐ歩道橋が「駒沢橋」

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歩道橋と呼ぶにはかなりの大きさです。
記事の中でも触れましたが橋の上はテニスコート1面くらいの広さがあって、
全ての部分を模型化すると2倍の奥行きが必要になるほどです。
下の写真を見ると赤茶色の部分が見えますが、この倍の奥行きがあります。

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この場所を知る雑誌編集者にジオラマにするつもりだと話すと、
「無理でしょう」のようなニュアンスの返事が返ってきました。
確かに当時は話してみただけ、でしたが
無理なはずはないと思っていました。

実物がそこにあるんだから、その1/43の模型が出来ないはずはない。
3次元の空間をどう切り取ってレイアウトするか、が問題なんです。
どれだけ複雑で面倒か、と言う事を無視すれば、
製作上の問題は殆どありませんでした。

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とはいえ、複雑で面倒な問題は実際数多くあって、
一番活躍した道具はきっと電卓だったと思います。



なんだか話が長くなりそうです・・・
続きは明日お付き合い下さい。

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この景色を作った時  ぬかるんだ道

2009 08 30
この景色を作る前に
ディスプレイする車両が2台決まっていました。
ひとつはドイツの軍用車。もうひとつはアメリカのもの。
片方のテーマは「ドライ」
もう一方は「ウェット」
それぞれに合うシチュエーションでふたつのジオラマ製作を依頼されました。

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依頼する側も受ける側も
どちらを「ドライ」のイメージにするか、について事前に分かっていましたから、
打ち合わせは楽でした。

細かい話ですが、以前紹介したドイツの軍用車は後輪駆動です。
車体も軽いのでぬかるみでも走破する事は出来たかも知れませんが、
やはり「ぬかるみ」=「四駆」というイメージがありますから、
今回の景色に合う車ということでアメリカの軍用車を置く事になりました。

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実際に路面に触れてみるとカチカチに固まった状態です。
この路面部分は下地に木工用の「ウッドパテ」を使っています。
水溶性のこのパテは成分表示にアクリル樹脂系エマルジョンとあり、
簡単に言うとリキテックスとほぼ同じものです。

さらにパテ自体に色がついていて、しかも茶系の土色です。
下地としては最適なアイテムですね。
およその地形が出来たら、このパテを盛りつけ、道路の形を整えます。
半乾きの状態でタイヤの跡をスタンプして、ぬかるみを表現したら
仕上げの着色と若干のつや出しをします。

車体にウェザリングする時も、この路面の色と合わせて調色し、
全体のバランスを整えます。
今回はウェット路面なので、前回のドライの時とはウェザリングの材料も
塗り方も違ってきますが、景色全体を見ながら仕上げていくというのは一緒ですね。

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この景色、雨は降っていません。
もし雨が降っている状況を再現するなら、どうしましょう?
車体の色や川の様子まで違う色になりますね。

今度やってみよう!



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この景色を作った時  電話ボックス

2009 08 24
この景色、今では本当に見かけなくなりました。

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街中を走っていて電話ボックスを探すのって大変です。
公衆電話が減っているというのは今に始まった事ではありませんが、
すでに懐かしい景色と言っても言い過ぎではないと思います。

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とはいえ1/24スケールのモデルカーを飾る背景として
絵になる景色だと思っています。
電話ボックスの中には、その周りとは隔離された空間があって
ちょっと落ち着ける場所でもあるんですが、
ジオラマやミニチュアのテーマとしては、定番過ぎるくらいの定番ですね。

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そんな今更の感すらあるこの景色、なぜか見ていると落ち着きます。
製作した本人がこんな事を言うのも変ですが、
この景色に限らず、実在、架空を問わず
製作したすべての景色を見ていると気持ちがゆったりしてきます。

そういう気持ちになれる事に気付いたのが、
実はこの景色を作った時からでした。




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